研究概要 |
FRPパネルの目視検査画像より,欠陥部位の画像因子と形状評価因子を抽出するアルゴリズムを開発し,その有効性を実証した.実際の検査工程では欠陥の個数や大きさだけでなく,どのような性質の欠陥が発生しているかを調べることが重要となっている.欠陥部の形状をあらわす因子として,欠陥部の面積,明度,長さ,アスペクト比が考えられる.この中でもっとも欠陥部の重要度をあらわす因子として,面積は損傷部の大きさ,明度によって欠陥部の種類や深さを表すと考えられ,楕円近似した長軸の長さとアスペクト比は欠陥の形状をよく表す因子と考え,この4つの因子によって欠陥部の重要度を分類する実用的な分類法を模索した.その結果,画像情報と形状情報による欠陥の分類の重要度を重度,中度,軽度の3段階としたルールテーブルによる実用的なskill-basedカテゴリ分類法を考案した.この方法は,それぞれ評価因子がどのような性質を持っているかにより重要度を決定するための基準とし,2段階ルールテーブル評価での分類を行った.第1段階の分類では,欠陥の大きさを表す面積と欠陥部の種類や深さを表す明度によって重要度をつけた.第2段階目の分類では第1次分類よりもより欠陥部の形状によった重要度による分類ができるようにと,近似した楕円の長軸,アスペクト比による重要度の分類を行った.その理由としては長軸が長いということは傷が大きいということを表しており,アスペクト比が小さくなることにより欠陥部はとがった形状となり欠陥の重要度は高くなっていくと考えられるからである.よって第1次分類で欠陥部の重要度別に分類したものをさらに厳密な分類を行うようにルールテーブルによる分類法を開発し,水槽用埋め込みFRPタンクの外壁材を用いた製品の一部をレプリカとして抽出した画像により,提案手法の有効性を実験的に検証した.
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