研究概要 |
著作権のデジタル情報を「透かしデータ」として,3次元形状モデルデータ内に第三者に気づかれないよう密かにかつ除去不能な形式で埋め込み,必要に応じてこの透かしデータを抽出できる技術(「電子透かし技術」)を開発することによって,形状モデルの著作権保護を実現することが本研究の目的である. 本年度の研究成果は,下記の通りまとめられる. (1)ポリゴンモデルに対する電子透かし技術の基礎理論およびアルゴリズム開発 K-diskウエーブレットに基づくベクトルウエーブレット変換を応用し,ポリゴンモデル幾何データを多重解像度表現を作成し,この表現の様々な解像度レベルへ透かし情報を分散して埋め込み,またこれを抽出する理論とアルゴリズムを独自に設計した. (2)ポリゴンモデルに対する透かしデータ埋め込み・抽出ソフトウエアの実装と,透かし埋め込み性能評価 (1)で提案された理論とアルゴリズムに基づき,ポリゴンモデルに対する透かしデータ埋め込み・抽出ソフトウエアをC_<++>言語により実装し,透かし埋め込み抽出実験を三角形サイズ数千のポリゴンモデルに対して実施した結果,提案アルゴリズムが下記のような良好な特性をもつことを確認した. ・ポリゴンモデルのアフィン変換に対し,透かしデータが100%保存される. ・透かし埋め込みによって生ずるモデル誤差の許容値を,透かし埋め込み時に指定できる. ・透かしをモデル内のめだたない場所へ選択的に埋め込むことが可能である。 ・局所的な座標地変更に対しても,低解像度レベルに埋め込まれた透かしデータは残存する頑強性をもつ. 以上の成果について,11に示すとおり,論文3編(欧文2編),特許出願1件,ならびに精密工学会学術講演会において口頭発表で公表した.
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