シリコンウェーファーや水晶などの硬脆機能材料を、加工欠陥を生じずに効率よく機械加工する新しい加工法を開発するために、本年度は高静水圧環境下でこれらの硬脆材料の機械加工試験を行い、静水圧が加工特性に及ぼす影響を検討した。特に水晶の場合、他の機能材料と比較して加工欠陥が発生し易く、通常の加工条件では無欠陥加工はほとんど不可能なこと、また400MPaの静水圧下ではこのような欠陥が抑制されることが分かった。また、結晶塑性有限要素法を利用してこのような加工欠陥の発生機構を力学的見地から検討した。 次に、以上の知見に基づいて高静水圧環境下で連続的な切削加工試験を行うための装置を設計した。本装置は施削型の加工試験装置であり、試験片を保持するターンテーブルと工具を保持する工具台を高圧容器内に設置したものである。工具はX-Y方向の独立した移動が可能で、圧力容器外のモーターにてこれらを駆使する。工具として単結晶ダイヤモンドバイトを用いる。さらに切削力を検出するために工具台には小型ロードセルを備えている。 この設計に基づき装置の試作を開始した。主だった部品の製作、購入は完了し、組み立てを開始した。 次年度は装置を完成させ、硬脆材料の切削特性について実験を行う予定である。
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