研究概要 |
マイクロマシニングは,工業的にも学問的にも興味深い技術である.本研究では高強度ファイバーに注目し,その優れた特性や寸法形状を生かして,穴抜き工具として使用することを試みた. 本実験に用いたファイバーは,SiC長繊維で,それをアルミニウム半割軸にはさみ,その端面をアルミニウム軸ごとにラップ仕上げをする.通常,このような場合は,アルミニウムが優先的に研磨され,アルミニウムに比べて硬いファイバーは研磨が遅れ,その結果,ファイバー先端が突き出した状態で丸くなってしまう.そのため,0.25μm直径のダイヤモンド砥粒で木綿布上でバフ仕上げした後,ステンレス板に同じ砥粒を塗布し,その上で非常に弱い力でラップ仕上げを行った.この結果,ファイバー先端はほぼ平面にすることができた.その後,電解研磨法によってアルミニウムを50μm除去することによって適度な軸比のファイバーポンチが作られる. 本研究のため,最大変位68μm,発生力800Nの金属ケース封入型積層圧電アクチュエータを動力源とし,その変位をカンチレバーによって,およそ10倍に増幅するプレス機を自作した.このプレス機は,加工速度を任意に設定するため,ピエゾドライバー,D/Aコンバーターを介してパソコンに接続されている.粗位置決めは顕微鏡で観察しながら行った. 高アスペクト比のアルミニウム箔,中アスペクト比で中強度のべリリウム銅箔,低アスペクト比で高強度のステンレス箔の穴抜き試験を行った結果,いずれの場合も良好な性状の穴を開けることが可能であった.ただし,高強度のステンレス箔の穴抜きの場合,抜き回数が増加するにしたがってダイス磨耗が進行した.このダイス磨耗の対策のために,真空を利用した箔の保持,抜きかすの除去を行い,所望の結果を得た.
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