研究概要 |
本年度は,主に切削抵抗モデルとサーボモデルの構築を行った. (1)切削抵抗モデルの調査と構築:調査の結果,本研究には次の2つのモデルが適していると判断された:(A)工具を軸方向にデスク上に仮想的にスライスし,各切れ刃が生成する切りくずの幾何学的形状から微少部分に発生する切削抵抗を求める.これを積分してエンドミル全体にかかる切削抵抗を推定するモデル.(B)送り速度,切り込み等のマクロな切削条件と切削抵抗の関係を実験により求めるモデル.本研究では,扱いが簡単な(B)で進めることにした.切削抵抗モデルを構築するため,炭素鋼S50C,鋳鉄FC250,アルミニウムADC12を超硬工具で切削し,切削抵抗データを取得した.これらのデータを切削条件・切削抵抗の回帰モデルをあてはめた結果,十分な再現性をもつ加工モデルが得られた. (2)送りサーボモデルの構築:既存のマシニングセンタとテストスタンドについて,システム同定実験を行った.速度開ループの動特性を正弦波加振またはランダム加振により測定した.これに時系列モデルをあてはめて速度サーボ系のモデルを構築した.また直線・S字曲線等の指令値生成部のモデルを作成し,指令値に対する速度応答について実測値と同定モデルでの予測値とを比較したところ,良い一致が見られた. 以上により,加工モデルとサーボモデルが得られたので,これらを用いたMIMOシステムの解析を行っていく予定である.
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