研究概要 |
平成11年度は『NCプロブラムを必要としない次世代自律加工セル』を試作するために必要な以下の2つの機能に関して研究を実施した. 1.加工プロセスや加工精度を事前の予測するシミュレーション手法 これまでの研究で開発済みのエンドミル加工における切削力や加工誤差が推定できる加工シミュレータに,計算機内の工作物と工具の3次元モデルを利用して加工中の形状変化をコンピュータグラフィクスで表示しながら工具移動によって変化する切削条件(切り込み)を抽出する形状シミュレータを統合して,仮想加工シミュレータを開発した.この仮想加工シミュレータを利用することで,加工中に切削力が急増する部分や,加工精度が要求精度を満足しない部分を,加工前に把握することが可能となった.自律加工セルにおいては,工具経路の問題点を事前にチェックし,切削異常を回避するための重要な機能に位置付けられる. 2.実時間工具経路生成手法 倣い加工の原理をそのまま計算機内で再現して,実時間で工具経路を生成する仮想倣い加工シミュレータを開発した.この仮想倣い加工シミュレータで生成される工具経路データを,マシニングセンタの制御装置が提供するHSSB(High Speed Serial Bas)を利用して高速転送し,実時間でマシニングセンタの制御が可能であることを切削実験で検証した.実時間で工具経路を生成しながら制御できるために,NCプロブラムによる加工では不可能な切り込みやピックフィールドといった切削条件を加工中に変更できることが可能となった.自律加工セルにおいては,加工状況に対応しながら工具経路を生成するための重要な機能に位置付けられる.
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