研究課題/領域番号 |
11650133
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
里中 忍 熊本大学, 工学部, 教授 (40128278)
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研究分担者 |
白川 英観 熊本大学, 工学部, 助手 (00295122)
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キーワード | 多点スポット溶接 / 強度推定 / 非破壊検査 / 引張りせん断試験 / 電極移動量 / 超音波測定 / 赤外線サーモグラフィ法 / 破断形態 |
研究概要 |
本年度は、荷重方向およびそれに直交方向に2〜4点のスポット溶接を配置した試験片を準備し、板厚、板幅、接合径、溶接間隔(ピッチ)、溶接材種が接合強度、破断形態に及ぼす影響を調べ、多点スポット溶接部材の接合強度推定法を明らかにした。接合強度の支配因子は引張りせん断試験と応力解析から、強度に影響を及ぼす接合径は超音波測定、赤外線サーモグラフィ法の他に、レーザー変位計による電極移動量からも測定した。 その結果、多点スポット溶接部材の強度はスポット溶接の配置に依存し、主に溶接部に同時に作用する引張り荷重と曲げモーメントの相互作用に支配されていることが有限要素法による応力解析から明らかになった。特に、荷重方向に配置したスポット溶接では、破断荷重は曲げモーメントの影響を受け、接合径が同じで、溶接間隔が約40mm以上の場合の破断荷重はほぼ最大荷重となり、一定となる。ただし、軟鋼では板幅の狭い場合の最大荷重が低く、破断も母材部で起こり、ステンレス鋼では、板幅と溶接間隔が広い場合の破断が溶接部のせん断で発生するようになる傾向が観察された。これは、接合部近傍が溶接に伴う熱影響で硬化し、強度が高くなることと曲げモーメントの影響によるものである。これらの結果から、スポット溶接が荷重方向およびそれに直角方向に配置された試験片における破断強度は、単点スポット溶接の強度データを用いると±10%で推定することができることが示された。 一方、接合強度に影響を及ぼす接合径は、溶接後に行う超音波測定や赤外線を利用した測定の他に、電極移動量でもかなりの精度で接合径を推定することができることが分かった。特に、電極移動量は、溶接プロセス中の測定から接合径ばかりでなく、強度推定法を組み合わせると溶接構造物の強度までも予測できることが明らかになった。今年度は電極移動量を試作装置で測定したが、今後実用に供し得るような装置に改良する必要がある。また、強度に関してはスポット溶接を千鳥状に配置したスポット溶接も含めて薄板溶接構造物の設計法を明らかにする必要がある。
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