研究概要 |
昨年の成果を踏まえ、本年度は以下の4項目について検討した。 (1)振動付加装置の設計開発と制御システムの開発 既設の適応制御深絞り装置を改良してしわ抑え板(BH)の振動付加機能を付加した。最大1Hzの低周波まで可能とした。これによって低周波振動とBH制御を自由に組み合わせ振動数、振幅、しわ抑え力レベルを自由に設定できる高機能コンピュータ制御システムを構築し、その高い性能を確認した。 (2)振動付加深絞り実験と基礎データベースの構築 ファジィ適応制御システム設計構築のため、鋼板を用いて種々の振幅と振動数の条件での深絞りプロセスデータを収集した。超音波付加の場合と異なり、一定しわ抑え力と振動の最大荷重を一致させて負荷する方式とすることによってパンチ力の低減が実現できることを確認した。大きな振幅ほどその効果は顕著であり,しわ発生を抑える効果に対して無潤滑あるいは低粘度の無洗浄油加工の可能性を明らかにした。 (3)無潤滑加工または無洗浄油加工の適用寿命評価実験 製品品質の面から表面傷発生までの加工サイクル数を調査した結果、本鋼板では振動負荷によって寿命は短いまでも、ある程度有効であることを明らかにした。 (4)ファジィ適応制御による効果 上記(2)の結果を基にデータベースからファジィ適応制御システムを組み立て、それを用いて振動負荷とファジィ適応制御を組み合わせた実験を試みた結果、若干ながら両者を組み合わせる効果が見られた。今後は再現性,信頼性を高めて、さらに無潤滑・無洗浄油化に効果のあげられる条件や適した材料を見出すよう、前年度実施したFEM解析を組み合わせながら引続き研究を進める予定である。
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