純度の高い酸化アルミニウムに適量の酸化チタンを固溶させると、酸化アルミニウムの硬さが飛躍的に増大することを以前に見いだした。これを砥石、砥粒、さらには酸化アルミニウムの単結晶であるホワイトサファイアの硬質化に応用してこれら加工用工具材料の性能向上を目指している。 まず、最初に酸化アルミニウムの粉体に、同じく酸化チタンの粉体を各種の濃度で混練してセラミックスを焼成した。このセラミックスをゾルゲル砥粒のように使用する場合を想定して、先端が120°の円錐に研磨し、回転するS55Cに切込ませてその先端の摩耗を調べた結果、酸化チタンの添加量が0.8mass%前後が適量であることが分かった。また、ホワイトサファイアの切削工具としての基本的な性能を調べておく目的で、サファイアの結晶三代表面をすくい面とした場合にどの方向に刃先を向けるべきか、研磨方向を変えて研磨実験を行って調査した。その結果、すくい面を{1010}面にする場合は刃先を、〈0001〉方向に向ければ良く、同様に{1120}面の場合は〈1100〉方向に、{0001}の場合は〈1010〉方向がそれぞれ適していることが分かった。
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