研究概要 |
平成12年度は,以下の項目について研究を行った. (1)ホロニック・リアルタイムスケジューリングシステムの開発 ホロニック生産システムにおける生産管理および制御の基本となるリアルタイムスケジューリングシステムの開発を行った.特に,ディシジョンルールを用いて,生産設備ホロおよび工作物ホロンが自律的にリアルタイムにスケジュールを決定し,加工を実行していくシステムのシミュレーションを行った.また,スケジューリングの最適化を目的として,生産工場あるいはショップのホロンが,その構成要素である生産設備のスケジューリングを行うシステム構成について検討した. (2)ホロニック生産管理および制御方法論の開発 リアルタイムスケジューリングを基本とするホロニック生産システムにおける生産管理および制御の方法論を検討した.特に,生産設備の故障あるいは特急オーダの入力などの予期できない外乱が生じた場合の管理および制御の方法論について検討した.また,よりフレキシブルな制御方法論の開発を目的として,工作物ホロンが自身の工程計画を設計する手法を提案した.この手法を用いることで,工作物ホロンは,生産設備の加工スケジュールを考慮した上で,自身の加工手順および生産設備のシーケンスなどの工程を設計することができる. (3)ホロニック生産システムの実用化の可能性の検討 上記(1)および(2)の結果に基づいて,自律分散型のスケジューリング,管理および制御システムのプロトタイプをシミュレーションシステムに実装し,その実現可能性を検討した.その結果,以下のことが明らかとなった. ・本研究で開発したシミュレーションシステムを用いて,ホロニック生産システムのスケジューリングプロセスおよび加工プロセスのシミュレーションを行うことができる. ・本研究で提案したリアルタイムスケジューリング手法を用いることで,工作物ホロンおよび生産設備ホロンのスケジュールをリアルタイムに決定し,加工プロセスの実行を行うことができる. ・工作物ホロンに工程設計機能を持たせることで,生産スケジュールを考慮した生産設備のシーケンスを求めることができる.
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