研究概要 |
本研究課題の主目的は組成・物性・構造を超精密に制御した表面層の形成である.平成11年度には電子ビームによりプラズマが励起可能なプロセスチャンバーを作成し,実験態勢を整えた.プロセスチャンバーの容積は50Nlであり,真空引きはロータリーポンプとターボモリキュラーポンプで行い,10^<-5>Paの真空度が達成可能である.真空測定は低真空をピラニー真空計,高真空を電離真空計で行った.正面にはプラズマ現象が観察できるように窓を設け,電子ビーム導入用,スパッタガス導入用,4重極質量分析器,ファラデーカップ設置用のフランジ,さらに2つの予備用フランジを設けた.具体的な蒸着プロセスは,そのメカニズムがよく似るレーザーアブレーションで行うこととした.そのためにアブレーション用のYAGレーザーを購入し,チャンバー内に設置し,シリコン基板上にアルミニウムを蒸着し,シミュレーション試験を行った. 申請者はプラズマ現象を解明し,プラズマの空間分布と速度分布の間には相補関係があり,それらよりアブレーション領域の縦横のアスペクト比と蒸着領域のアスペクト比は相補関係にあると理論予測していた.平成11年度の蒸着厚さ分布等の試験結果は申請者の理論予測を裏付けるものであった. 平成12年度には蒸着現であるターゲットを高精度に三次元に移動可能な用にx-y-z移動テーブル並びにそれのコントローラを購入、設置した。ターゲットは三成分よりなる分割タイプとし、各成分を交互連続にアブレーションすることにより成分が高精度に設定されたコンポジットマテリアルを作成することが可能となり、本研究課題で予定した研究目的の一つを達成することが可能となった。 主たる研究発表はそれらの実績をまとめたものである.
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