研究概要 |
申請者はプラズマ現象を解明し,プラズマの空間分布と速度分布の間には相補関係があり,それらよりアブレーション領域の縦横のアスペクト比と蒸着領域のアスペクト比は相補関係にあると理論予測していた.平成11年度の蒸着厚さ分布等の試験結果は申請者の理論予測を裏付けるものであった. 平成12年度には蒸着現であるターゲットを高精度に三次元に移動可能な用にx-y-z移動テーブル並びにそれのコントローラを購入、設置した。ターゲットは三成分よりなる分割タイプとし、各成分を交互連続にアブレーションすることにより成分が高精度に設定されたコンポジットマテリアルを作成することが可能となり、本研究課題で予定した研究目的の一つを達成することが可能となった。 また、本研究ではパルスレーザー光の照射領域の形状と形成される膜の膜厚分布(成膜領域)との関係について次のことが分かった。1つ目にターゲット上の照射領域の形状が高アスペクト比である場合、ターゲット表面に水平に設置された基板上に形成された膜の成膜領域は、照射領域の長辺方向に狭く短辺方向に幅広くなる。そしてその程度は照射領域のアスペクト比に依存する。2つ目に照射領域の形状が点や正方形の場合の成膜領域は、全ての方向に均等に広がる。すなわち、照射領域の面積を同じとした場合、照射領域のアスペクト比が1に近い方が幅広い照射領域となる。3つ目に照射領域の形状を高アスペクト比にすることにより、成膜領域に中心部において早い成膜レートを得ることができる。この時成膜中に基板を移動させれば、必要な領域を均一な膜厚とすることもできる。最後にPLD法で薄膜を生成させる時、ドロップレットという1μm級の球状の塊ができる。このドロップレットの数は膜厚と同じような分布を取る事がわかった。またターゲット材料を変えて実験を行った結果、ドロップレットの数が材料によって違っているが、分布は等しい事がわかった。 主たる研究発表はそれらの実績をまとめたものである。
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