研究概要 |
高齢者の作業負荷や生産性などを事前に評価できるシミュレータの開発を目的とし,3年度においては,ディジタルヒューマンモデルの機能強化設計およびそのための生体の諸特性計測実験,ならびに作業中の下肢疲労評価実験などを行った。それらの結果は以下のようにまとめられる。 1.ディジタルヒューマンモデル"Jack"を用いて,新しい視認性評価システムを開発した。これは3次元CGで構築された仮想作業空間において,視認対象の表面にポインタを移動させることにより,ヒューマンモデルの眼との距離を自動算出し,それが視認可能か否かを色表示によって容易に判定できるシステムである。ここでは視認性評価を,「視認不可」「凝視視認可能」「瞬時視認可能」「余裕視認可能」の4段階に分け,それらの判定基準は実験によって同定した。このシステムを用いることによって,高齢者が余裕をもって視認できる作業場の設計が可能となる。 2.前年度において開発した下腿部のむくみ計測装置が接触式であったのに対して,今年度は非接触式によるむくみ計測法を開発した。これによって下腿部のどの部分のむくみが最も大きいかなどの基本特性が明らかになるとともに,立ち作業中に運動を取り入れることによってむくみが改善し,また,生産性も向上することなどが明らかとなった。 3.高齢者の技能や健康に関する諸特性データベースを構築し,パソコンによってそれらのデータを容易に利用可能なGUIの開発を行った。 4.高齢者や女性の諸要因を組み込むことが可能な生産システム評価シミュレータを開発した。これによって,ライン作業における最適な人員配置や人員の組み合わせなどが可能となる。
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