研究概要 |
本研究では,従来の直交座標型の三次元座標測定機(CMM)を縮小しただけではなく,閉リンク構造を並列に持つパラレルメカニズムを用いた小型のCMMを提案している.本年度は以下の項目について研究を行った. (1)直動リンクの製作 昨年度までの研究で,最適なリンク配置についての検討がほぼ終了しているので,本年度は全体の詳細な設計を行い,測長器とアクチュエータを組み込んだ直動リンクを製作する.具体的には,リニアガイドを用いた直動ジョイントに測長器となるリニアスケール(測定分解能:約2nm,ストローク:100mm)を組み込んだ.またナノメートルステップでの超精密位置決めが行えるように,アクチュエータとして積層型圧電素子を用い,インチワーム機構を構成した. (2)直動リンク駆動プログラムの作成 直動リンクをインチワーム機構で駆動するための制御プログラムを作成した.内蔵したリニアスケールを用いないオープンループ制御プログラムと,スケールの値を用いるフルクローズドフィードバック制御用のプログラムを作成し動作を確認した (3)ジョイント回転誤差補正と熱変位補正 パラレルメカニズムではジョイントの運動誤差は機構の運動誤差の大きな原因であると考えられる.また,高精度の測定機では室温変動などによる熱変位の補正を行う必要がある.ここでは,変位計や温度計を用いずに,直動ジョイントの両端に設置する球面ジョイントの回転誤差の補正および直動リンク自体の熱変位を補正するための機構を組み込んだ.
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