せん断方式Laplace圧力測定器を製作した。この測定器は、光学顕微鏡下で干渉縞をデジタルカメラを通じて計算機に取り入れることによって液膜の厚さを20nmまで測定することができるようになった。そこで、まず固体表面の変形などが無視できるという通常の膜厚さの範囲で、Laplace圧力の測定結果と従来の理論式による計算結果とを比較することによって、試作したせん断方式Laplace圧力測定器の有効性を検証した。その結果、膜厚さが約20nmまでは水やアセトンに対するLaplace圧力の測定結果が従来の理論式によく一致することが分かった。また、本研究で考案した、表面の弾性変形を考慮した修正理論によれば、従来の理論式は5nm以上の膜厚さの場合に適用できることが明らかになった。これらの結果を踏まえて、本研究で試作したせん断方式Laplace圧力測定器が有効であることが分かった。これからは、さらに1nmの薄い膜を測定する予定である。 在来のSurface Force Apparatusと比べて、せん断方式Laplace圧力測定器は測定結果が表面の変形の影響を受けないという最大な特徴を有する。また、せん断方式Laplace圧力測定器は外部の振動に強いという長所も持っている。
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