表面力は機械の超精密化や微小化につれてますます顕在化され、設計、製造、組み立ておよび使用の各段階においてその重要性が増している。 本研究では、固体表面の変形による影響を考慮した上で、遠隔作用力と直接作用力を含める球面と平面間の引っ張り力に関する解析を行った。その結果、Surface Force Apparatusのような引っ張り方式で固体表面の表面力を測定するとき、固体表面の変形が引っ張り力を大きく低下させることがわかった。 本研究ではせん断方式の表面力測定法を考案した。せん断方式Laplace圧力測定器を製作した。在来のSurface Force Apparatusと比べて、せん断方式Laplace圧力測定器は測定結果が表面の変形の影響を受けないという最大な特徴を有する。また、せん断方式Laplace圧力測定器は外部の振動に強いという長所も持っている。 また、メニスカスの理論については、従来静的解析理論または準静的解析理論しかないことを文献調査によって明らかにした。その結果、動力学的特性の一つであるメニスカスのばね係数がメニスカスの厚さのみならずメニスカス内に含まれる液体の量にも依存するという新しい知見を見出した。 本研究では、軸受の間隙がnmにまで小さくなるときに生じる表面力の効果について検証し、ハードディスク/スライド空気軸受の特性に及ぼす影響について数値解析を行なった。その結果、ハードディスク/スライド空気軸受のような膜厚さ10nmオーダーの場合、van der Waals表面力によって空気軸受の真の負荷能力が低減されることだけではなく、軸受の剛性がO以下になることで軸受としては完全に機能しなくなることもあることがわかった。磁気ヘッドのアバランシェは磁気記録密度を向上させるうえでの大きな障碍になっている。表面力はスライドのアバランシェの一因とも考えられることが本研究によってはじめて明らかになった。
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