研究概要 |
本年度は非透気性及び透気性ウェブと支持ローラ間の浮上量並びに混合潤滑下における摩擦特性を推測するための理論モデル並びにその数値解析プログラムの開発に取り組み,非透気性ウェブの浮上特性並びに摩擦特性について具体的な計算を実施した.その際,支持ローラとして,表面に溝のないフラツトローラ,円周溝付きローラ,中空多孔質ローラを想定し,それぞれのローラとウェブ間の浮上特性並びに摩擦特性に及ぼすウェブ走行速度,幅,張力,巻き角,溝寸法,供給圧力など各種パラメータの影響を系統的に調査した.その結果,溝寸法を適切に設計することによりウェブとローラ間の空気膜を効率よく排除し,ウェブとローラを密着させて十分なトラクションを確保し,ウェブの搬送に有効に活用し得ることを見出した.一方,中空多孔質ローラを用いた場合,ウェブ走行速度と供給圧力を適切に組み合わせることにより,ウェブ浮上量をアクティブに制御し得ることを見出した.理論解析と並行してこれらの結果を実験的にも検証し,理論と実験の示す傾向は定量的にも定性的にもよく一致することを示している. ウェブとローラ間の摩擦特性については現有の実験装置では測定が不可能なため,上記の解析結果を基に改めて実験装置の設計・製作を試み,本年度末に完成させることができた.この装置ではウェブの種類を様々に変えることが可能であり,本研究の最終目標である紙などの透気性ウェブとローラ間の浮上・摩擦特性の測定に有効に活用できると考えている.平成12年度は以上の成果の下にさらに解析・実験を進めていく計画である.
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