アクチンとミオシンとの滑り運動時の摩擦力を表面間カ測定装置で測定するためには、まずアクチンフィラメントを2次元平面上に平行に配向固定する必要がある。一方、ミオシンの2次元平面への配向固定はすでに確立されている。これまで、よい干渉条件を得るために銀薄膜上にミオシン分子を固定していたが、最近ECRスパッターによりSiO_2薄膜をマイカ上に蒸着することが可能となった。この薄膜にシラン処理で様々な化学修飾を施すことが可能になった。 固体表面に対して垂直方向へのアクチンフィラメントの配向は、ガラス表面のシラン処理によりアミノ化し、さらにスルホ・マレイミドによりマレイミド化した。このようなマレイミド基板でアクチンのキャッププロテインであるゲルゾリンのシステイン部位と結合させ、ゲルゾリン単分子層を作製した。このゲルゾリンを介してアクチンフィラメントの固定を行うことができた。アクチンモノマーを一段目に結合させ、それからアクチンフィラメントを成長させることはできなかった。むしろ、アクチンを直接成長させる方がよい結果を得た。ただし、成長反応を2回行う必要があった。アクチンフィラメントは、蛍光色素ローダミンファロイジンで染め、共焦点レーザー顕微鏡で断層写真を撮影してガラス表面から成長している状況を観察した.測定によると、長さは約4μmまで成長していた。今後は、アクチンフィラメントをC末の反応性の高いシステインにHis-tag・maleimideで修飾し、NTA化したガラス基板に横方向の固定を行う。
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