前年度までの成果に基づき、実際の高速列車トンネルのバラスト軌道効果を応用した新しいトンネル騒音低減装置の最適な形状や内部構造を解明するするため、騒音データ解析装置を用いて実際のトンネル出口形状を考慮した数値計算を行った。その結果と実際の新幹線トンネルでの実測値との比較検討を行い、実際の高速列車トンネルのバラスト軌道効果を応用した新しいトンネル騒音低減法における問題点とその解明した。得られた研究実績は以下の通りである。 1.高速鉄道トンネル波動シミュレーターの管路に設置した多孔板のバラスト軌道モデルを用い、管路内の圧力変動を現有の圧力変換器で計測し、同時にレーザ差動干渉計を用い管路内の圧力波及び非定常境界層の密度変動成分を測定した。多孔板はバラスト軌道効果を考慮し数種類の形状を提案製作し、実験を行った。その結果、モデル実験におけるバラスト軌道効果の基礎的資料を得た。 2.トンネルの空洞部分と下層部分の二層を圧力波が伝播する二層バラスト軌道モデルを考慮した数値解析モデルを提案し、モデル実験を対象とした数値解析を行った。その結果、多孔板による圧縮波波面における流れの吸い込み現象を確認し、それが波面の変形に及ぼす影響を明らかにした。 3.以上の実験的および数値解析的結果を総括し、多孔質壁及び多孔板壁によるバラスト軌道効果を応用した新しいトンネル騒音低減法の基本性能を明らかにし、実際のトンネルへの適用方法を考察した。
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