研究概要 |
供試翼NACA65-0910、BTE翼を対象に、低レイノルズ数領域におけるピッチング運動翼近傍と後流のフローパタンを3種類の染料を用いて可視化し、またそれに働く非定常揚力を小型6軸力覚センサを用いて測定した。その結果、以下のことが明らかとなった。 (1)静止状態時にはく難が発生していない迎え角α=6°±6°では,両翼の場合とも無次元角速(k=2πf(c/2)/U_0)が0.063の場合にはピッチング運動翼後流には明確なカルマン渦列を形成する.一方,k=0.377の場合にはこのカルマン渦列が上下に大きく揺れるフローパターンとなる. (2)α=6°±6°においては,k=0.063及び0.377の場合ともピッチング運動時の非定常揚力は静止状態時の定常揚力まわりを変化する.また,翼形状による違いは小さい. (3)静止状態時にはく離が発生している迎え角α=16°±6°では,k=0.377の場合に両翼の場合とも迎え角増加時に翼前縁から強い時計回転方向のはく離渦が発生し,これが翼背面上に再付着する.BTE翼においてはこの再付着渦が迎え角減少時にもさらに翼背面上で成長する. (4)この再付着渦が翼背面上から離れ,翼後縁から発生する反時計回転方向のはく離渦と干渉することにより,翼5弦長後方には渦塊が生成される独特のフローパターンとなる. (5)α=16°±6°においては,翼背面上の再付着渦により逆流域が抑えられるために非定常揚力は定常揚力に比べ大きく増加する.翼前縁から発生するはく離渦の挙動が非定常揚力の動的挙動に大きく影響し,翼形状の影響も大きくあらわれる.
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