研究概要 |
本研究は,蒸気中を伝ぱする衝撃波が衝撃波管管端で反射したとき,管端面で生ずる蒸気の相変化(凝縮)現象(凝縮液膜の形成)に着目して,相変化速度および凝縮係数に関して,常温から50℃付近までの温度範囲で測定を行ったものである. 常温から200℃までの温度範囲で衝撃波管内の蒸気の初期温度を設定できる衝撃波管試験部(長さ約2m,内直径70mmの円管)を製作し,性能試験を行った.その結果,アルゴンガスを試料気体として用いた場合,設定温度110℃に対して,試験部の軸方向の温度差は約6℃,半径方向の温度差は約5℃であり,試験部はほぼ一様な温度になっていることを確認した.凝縮の実験を行う衝撃波管管端と反射衝撃波間の圧力に関して,実験値と理論値の一致は良好であった. メタノールを試料気体として、常温から50℃の範囲で凝縮の実験を行い,凝縮速度および凝縮係数を測定した.凝縮係数は,0.07から0.52の範囲で,界面での蒸気温度の増加とともに増加し,数密度の増加とともに急激に減少することを明らかにした.また,平衡状態近傍において約0.1程度の値をとることがわかった.本結果は,本報告者によるこれまでの実験結果および分子動力学シミュレーションの結果とも整合しており,さらに広い温度範囲で実験データを取得した点において,当該研究を発展させる上で極めて有用なものである. 今後,本研究の最終目標であるメタノール蒸気の臨界点(512.58K)付近までの凝縮係数を測定するとともに,凝縮機構のモデル化を行う予定である.
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