研究概要 |
本研究代表者は,衝撃波管を利用する蒸気の凝縮係数決定のための新しい実験技術を開発し,昨年度までにメタノール蒸気の凝縮係数を決定してきた。その結果,気液界面での液体温度<T_1>に対するそこでの蒸気温度<T_v>の比<T_v>/<T_1>が大きいほど凝縮係数の値が大きく,液体温度での飽和蒸気数密度<n^*_v>に対する界面での蒸気数密度<n_v>の比<n_v>/<n^*_v>が大きいほどその値が小さくなることを明らかにした.この場合,凝縮係数の値はこれらの比に依存して0.09〜0.52の範囲で変化していた. 以上述べたことを背景として,本年度は凝縮係数の値の温度および数密度依存性を詳細に調べるために、蒸気の初期温度を正確に制御することのできる衝撃波管を用いて初期温度がI:常温(286.3K〜299.6K)およびII:それより高い場合(323.3K〜324.4K)についてメタノール蒸気の凝縮係数を測定した.結果をまとめると以下のようになる. (1)メタノール蒸気の凝縮係数の値は,気液界面での液体温度が高いIIの場合の方がIの場合よりも小さい. (2)I,IIいずれの場合にも,温度比<T_v>/<T_1>が大きいほど,凝縮係数の値は大きい. (3)I,IIいずれの場合にも,同一温度比に対して,数密度比<n_v>/<n^*_v>が大きくなると,凝縮係数の値は小さくなる.
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