研究概要 |
本研究は,平成11年度から平成13年度の3年間にわたり,上記研究課題についてそれを遂行するための初期温度制御可能な衝撃波管の製作,メタノール蒸気を対象とした気液非平衡状態での相変化の実験と凝縮係数の値の決定,さらにメタノールの相変化過程に関する分子動力学シミュレーションを行ったものである. 実験は,主に,蒸気の初期温度が,I:常温(286.3K〜299.6K)およびII:それより高い場合(323.3K〜324.4K)について行われた.メタノール蒸気の凝縮係数の値は,気液界面での液体温度<T_l>に対するそこでの蒸気温度<T_v>の比<T_v>/<T_l>および液体温度での飽和蒸気数密度<n^*_v>に対する界面での蒸気数密度<n_v>の比<n_v>/<n^*_v>に依存していることが明らかになった.これら温度比および数密度比と凝縮係数の値との間には以下のような関係があることがわかった:(1)メタノール蒸気の凝縮係数の値は,気液界面での液体温度が高いIIの場合の方がIの場合よりも小さい.(2)I, IIいずれの場合にも,温度比<T_v>/<T_l>が大きいほど,凝縮係数の値は大きい.(3)I, IIいずれの場合にも,同一温度比に対して,数密度比<n_v>/<n^*_v>が大きくなると,凝縮係数の値は小さくなる. さらに,分子動力学シミュレーションにより,蒸気分子が凝縮する瞬間,凝縮点近傍存在する液体分子のエネルギーが上昇して,すべての場合についてではないが,分子交換が行われていることが明らかにされた.
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