研究概要 |
1.風洞内部のスピーカによりストラハル数St=0.82で励起された円形噴流中の速度と圧力を同時に測定し,測定データにより乱流エネルギー輸送方程式中の対流項,生成項,拡散項,圧力輸送項を求め,各項の分布と乱流構造の関連性,エネルギー収支を詳細に検討した.圧力拡散項については,渦構造との関連性および他の項との比較検討により,その特性を明らかにした.また,乱流エネルギー収支については,各項の測定値の残差から求めた散逸項とテイラーの凍結仮定による推定値がほぼ一致することを示し,本測定結果の信頼性を確認した. 2.上記の実験結果により,従来の乱流モデルで用いられている圧力拡散項の近似モデルを検討した.その結果,十分下流では近似モデルはほぼ妥当であるが,近傍領域では満足されないことを指摘した.とくに,明瞭な大規模渦構造が存在する領域では,新たなモデルの構築が必要である.本研究はモデル改善のための有用な基礎資料を提供している. 3.長方形噴流中の速度と圧力の測定結果により,三次元渦の挙動と音源の関連性を検討した.Ribnerの式を利用し,音源項を変動圧力の2階微分値として求め,渦挙動との関連性を詳細に検討した結果,噴流中心部で生ずる渦の切断・再結合過程が重要な音源となることを明らかにした. 4.励起のない軸対称混合層について,上記1の噴流と同様の計測および検討を行ない,乱流エネルギー収支の詳細を明らかにし,乱流モデルの改善と構築にとって有用な基礎資料を得た.
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