本研究は、境界層を伴う平面壁と円柱などの柱状物体や有限幅平板とが垂直に接合する三次元流場において生成する首飾渦の構造およびそのレイノルズ数や境界層条件に対する変化を、流れの可視化およびその画像解析により明らかにすることを目的としている。 平面壁に十分長い円柱が接合する場合の実験では、円柱直径を2種類に変化させてレイノルズ数Re=300から2300の範囲で生成する首飾渦の可視化を行った。この際、平板前縁から3箇所の位置に円柱を設置し境界層厚さを大きく変化させ、主に注入流脈法による可視化実験を行った。その結果、円柱レイノルズ数がRe=500程度で首飾渦は層流状態のまま1渦系から3渦系に変化する。さらにRe=2000程度で層流の3渦系から5渦系へと変化するが、このとき首飾渦が僅かに変動し始めことが分かった。この変動が流速の増加に伴う境界層遷移による変動に誘発されたものか、5渦系の首飾渦自身の不安定から生じるものであるのかどうかは現在の実験範囲からは明らかにできなかった。このような非定常性の発生原因については今後の研究課題と考えられる。また、生成した首飾渦が円柱周りの流れ特性にどの程度の効果を及ぼしているのかを風洞実験にて調べた結果、円柱直径に対する平面壁上の境界層厚さが比較的大きい場合、首飾渦のため円柱端部での剥離が後退し、背圧上昇や抗力低下をもたらすことが分った。 さらに、首飾渦のスケールアップを図り、首飾渦の詳細な挙動を把握するため、有限幅平板が平面壁に垂直に接合する場合についての可視化解析を行った。その結果、各アスペクト比における有限幅平板に対する首飾渦の相対寸法および渦系が境界層厚さに対する平板の相対的高さにより一義的に決定されること、またそれらが平板のアスペクト比に強く依存すること等が明らかとなった。
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