研究概要 |
傘状噴霧を利用した予混合燃焼方式ディーゼル機関実現のために,詳細な傘状噴霧の性状を明らかにする必要がある.現在まで,大型の傘状噴霧ノズルに対して噴霧のレーザドップラ流速計(LDA)と位相ドップラ法(PDA)による計測を行ってきた.しかし実用化を考えた場合大型ノズルでは自由度が低く,また現在多くの実用自動車用エンジンで小型ノズルを使用している現状を踏まえ小型傘状噴霧の実験を開始した.これまで,小型ノズルによる燃焼実験およびシリンダ内で噴霧流速計測等を行っているが,燃焼実験の結果とシリンダ内噴霧流速との関係が分かりづらく,大気中への噴霧の再評価が必要となった.本年度は小型噴霧ノズルによる傘状噴霧をLDA,PDAおよび粒子画像流速計(PIV)による計測を行った.これらの研究および昨年度計測した燃焼噴射率から,本噴霧は噴射率の変動とともにその発達する方向が微妙に変化することが実験的に示された.PIV計測から,原因は現在究明中であるが噴霧途中から大きな渦構造を伴いながら発達すること,および噴霧内部の速度分布がある程度計測でき,噴霧の一部分ではあるが空間的な構造が明らかになった.さらにPDA計測では,小型ノズルと大型ノズルでの噴霧性状が異なることを明らかにした.また,LDA計測では昨年度計測したシリンダ内の噴霧流計測に対応する計測点を選択し,相互の比較を行っている.今後,これらの研究結果を総合し,またシリンダ内の空気流速を詳細に計測することで,シリンダ内流れと傘状噴霧の相互関係を明らかにする予定である.
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