本研究は多孔質体内部の往復流動超断熱燃焼を用いてメタンを水素に変換する直接改質(部分酸化改質)についてその反応特性を明らかにすることを目的としている。本年度は昨年に引き続き実験的研究を進めると同時に、理論解析も行った。その結果、流動方向が周期的に反転することによる蓄熱式熱エネルギー循環により、可燃限界を越える過濃混合気を供給しても、まず燃焼反応が生じ、それに引き続いてメタン改質反応および水性ガス平衡反応が多孔質体中央部の高温領域で進行していることが理論解析より明らかとなった。また、水素生産速度が従来の管式炉に比べて5倍以上となることから、極めてコンパクトな改質器の実現が示唆された。さらに、水蒸気供給源やCO-CO_2変換器、水素分離装置などを含む総合システムを提案し、供給メタンから生成水素への熱量変換効率(システム熱効率)が70%に達し、コンパクトかつ生産性の高い水素供給システムの構築が可能となることが示された。
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