本研究は多孔質体内部の超断熱燃焼を用いてメタンを水素に変換する直接改質(部分酸化改質)についてその反応特性を理論的及び実験的に明らかにすることを目的としている。メタンと空気と水蒸気の混合気は周期的に流動方向を反転させながら、多孔質体内部に供給される。これにより混合気は多孔質体を通過する間に予熱される。一方中央部に設置されたNi系多孔質触媒内部で反応を終えた生成ガスが多孔質体出口に達する前にその顕熱は多孔質体に蓄熱される。そして、流動方向が反転するとこの蓄熱された熱エネルギーは混合気の予熱に供される。このエネルギー循環によって、火災最高温度が理論燃焼温度(断熱燃焼温度)を上回り、燃料過濃可燃限界を超える当量比約5まで可燃限界が拡張された。この時、供給されたメタンの約90%が水素へと転化され、生成ガス中には40%以上の水素が含まれることが明らかとなった。さらに、系全体のエネルギーバランスから、燃焼反応熱の約90%が改質反応熱に費やされることがわかった。さらに、反応処理速度を表す空間速度(SV値)が2600/hと従来の管式加熱炉に比べて5倍以上となることから、極めて効果的に水素が生成されることが明らかとなった。
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