高速で移動するピストンと二次元ノズルを利用して初期圧0.1MPa、初期温度298K、当量比1の水素-空気予混合気中に単一の強い渦対を生成した。また渦対の特正を定量的に調べるために、高速度シュリーレンシステムおよびPIVシステムにより渦の移動速度や速度分布を可視化測定した。ボルテックス・バースティングの実験においては、物理的外乱を流れに対して与えないために、ArFエキシマレーザー(波長193nm)によって渦対の一方の渦管の中心軸上において非接触着火を行った。着火後の火災の挙動は高速度シュリーレンシステムにより観察し、伝播速度を求めた。以上の実験により、渦の最大周速度に比例して火炎伝播速度が大きくなること、その比例係数は1.5に達することが明らかとなった。この結果はこれまでの実験よりも大きい値を示すものである。また本実験のデータはUmemuraの理論式と良く一致することがわかった。 次に現有の現有の計算コードに自由流出境界条件を課すことによって、実験と同じように圧力上昇のないボルテックス・バースティングの三次元数値シミュレーションを行った。その結果、火炎伝播速度は渦管の最大周速度に比例すること、初期には傾圧トルクによって生じる渦が火炎を伝播させるが、伝播が進むにつれて火炎前方に誘起されるねじれ渦が火炎を伝播させることが明らかとなった。 以上の研究成果は複数の国内学会およびIUTAMシンポジウムにおいて口頭発表されている。
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