理論や数値計算との比較に適している直線渦中でボルテックス・バースティングの実験を行なうため、ピストン駆動の直線渦発生装置を製作し、駆動圧を変えて渦の移動速度、最大周速度、渦核直径を調べた。また紫外レーザで着火を行なうために、窒素希釈された水素-酸素混合気の希釈率を変えて最小着火エネルギーを測定した。次に渦の最大周速度と火炎の密度比を変えて窒素希釈水素-酸素予混合気中の直線渦のボルテックス・バースティングの実験を行なった。その結果、ボルテックス・バースティングは伝播初期には非定常であり、渦管軸方向の火炎長の平方根に比例して伝播速度が増加すること、さらに伝播速度は渦の最大周速度に比例し、その比例定数は火炎の密度比-1に依存することを明らかにした。また時間が経ち定常伝播状態に移行した後は、火炎長に関わらず伝播速度は一定となり、伝播速度は渦の最大周速度とに比例し、その比例定数が火炎の密度比-1に依存することを明らかにした。さらに実験と同様の条件での数値計算によって、ボルテックス・バースティングの伝播速度が渦の最大周速度と密度比に比例すること、火炎前方に生成する周方向渦は渦管の要素渦が膨張によって捩じれることによって生じることを明らかにした。これらの研究成果は、国際応用力学会(IUTAM)シンポジウム(1999)、第1回計算流体力学国際会議(2000)、第3回スケールモデリング国際会議(2000)や、第38回燃焼シンポジウム(2000)などの国内の会議において発表されている。
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