研究課題/領域番号 |
11650222
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
萩原 良道 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (50144332)
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研究分担者 |
田中 満 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助手 (20281115)
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キーワード | 乱流熱伝達 / 組織構造 / ダクト内乱流水流 / 乱流維持機構 / 高分子塊 / 可視化実験 / 粒子追跡速度計測 / レーザー誘起蛍光温度計測 |
研究概要 |
乱流液流にある種の高分子を微量混入させ、液流による壁面摩擦抵抗と壁面熱漏洩を低減できることが知られている。そのため多くの研究が行われているが、抵抗・熱漏洩の低減メカニズムには依然として不明な点が多い。とくに、高分子が壁近傍の組織構造による乱流や乱流熱伝達の維持機構とそのダイナミクスへ及ぼす影響については、あまり研究がなされていない。そこで本研究では、壁面に開けられたスロットから希薄高分子水溶液をダクト内乱流水流の遷移層に注入する場合を対象として、希薄水溶液中の高分子塊と壁乱流の組織構造、温度場の同時可視化法を新たに開発し、実験により得られた画像を処理して、組織構造が担う乱流・乱流熱伝達の維持機構への高分子の影響を調べた。平成12年度は特に温度場に焦点を絞り、高分子塊、縦渦、および温度場の同時可視化を行い、以下の結果を得た。 1.主流およびスロットから注入する希薄高分子水溶液として、ローダミンBを微量含む煮沸脱気水を用い、光源としてYAGレーザー平面光を用いる平面レーザー誘起蛍光温度測定法(PLIF)は、高分子塊による遷移層内の温度変動の観察に有効である。透明発熱体による希薄高分子水溶液流の加熱、シース熱電対による同時温度計測はこの温度測定法に役立つ。 2.蛍光絵具粒子と水素気泡による高分子塊と縦渦の可視化、および2台のCCDカメラ(うち1台は光学フィルターを装着)による画像撮影を上記PLIFと組合せることにより、高分子塊、縦渦、および温度場の同時可視化が可能となる。これにより、PLIFへの水素気泡反射光の影響の分離が可能である。 3.高分子塊を含まない場合に、中央部の低温流体が縦渦によって壁に接近し、遷移層温度が低下することが観察された。 4.高分子水溶液が注入された場合に、高分子塊の近傍において縦渦の発生・成長が抑制されること、その結果乱流温度変動が特に高分子塊の上流側で減衰することが観察された。
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