多成分凝固系におけるマッシー層内プルーム対流の定量的評価とフレックル形成パターン

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11650224
• 研究機関: 山口大学
• 研究代表者: 西村 龍夫 山口大学, 工学部, 教授 (90136135)
• キーワード: 一方向凝固 / 結晶成長 / フィンガー対流 / プルーム対流

研究概要

本研究では合金の凝固過程において発生するフレックルと呼ばれる偏析現象を模擬するため塩化アンモニウム水溶液を用いて一方向凝固実験を行った。特に偏析と密接に関係する対流現象をいくつかの可視化法を併用し、詳細に検討した。
*フィンガー対流とプルーム対流の関係:フィンガー対流はプルーム対流発生のトリガーとしての役割を演じ、プルーム対流はフィンガー対流と共存する期間では発生と減衰を繰り返す。フィンガー対流が消失するとプルーム対流は長く持続し、マッシー層内にチャンネルが冷却面に向かって成長する。また、共存期間は初期温度が増加するほど長くなることを見いだした。
*対流場における速度の計測:PTVによる速度計測とPIVによる計測と比較し、精度の妥当性を確認し、プルーム対流の2重構造を定量的に評価した。
*マッシー層内の対流評価:界面近傍の流体を染料で着色し、マッシー層内への染料の浸透速度を測定し、0.01mm/sの値を得た。この結果はプルーム速度から流体の連続性を考慮して推算された値に近い。

研究成果

• [文献書誌] T.Nishimura: "Natural convection suppression and crystal growth during unidirectional solidification of a binary system"Heat Transfer Asian Research. 29・2. 120-131 (2000)
• [文献書誌] T.Nishimura: "Oscillatory natural convection by combined heat and mass transfer"Trends in Heat, Mass & Momentum Transfer. 6. 51-62 (2000)
• [文献書誌] 西村龍夫: "熱と物質の同時移動における自然対流"ながれ. 19. 306-314 (2000)
• [文献書誌] T.Nishimura: "Mass transfer through the diffusive interface in a two-layer, salt-stratified system under a horizontal temperature gradient"Chemical Engineering Science. 55. 5301-5309 (2000)
• [文献書誌] T.Nishimura: "Direct numerical simulation of layer merging in a salt-stratified system"Numerical Heat Transfer, Part A. 37. 327-341 (2000)
• [文献書誌] T.Nishimura: "Traveling plumes generated within a double-diffusive interface between counter shear flows"Physics of Fluids. 12・11. 3078-3081 (2000)