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本研究は、流下液膜の三次元表面波(馬蹄形表面波)が、一様流れの中の平板上の速度境界層の乱流遷移域において観測される、粘性低層から発生・発達する馬蹄形渦と類似していることに着目し、渦運動という視点から三次元表面波の運動および物質移動の特性を明らかにするものである。
流下液膜流れでは、まず二次元表面波(二次元渦)が発生・発達し、その後馬蹄表面波に発達する。本研究では、まず、二次元表面波の発生・発達過程を実験と理論の両面から明らかにした。波間距離が小さい場合、二次元表面波は互いに干渉し、合体して不規則な馬蹄形表面波に発達する。波間距離が大きい場合、二次元表面波が十分に発達した後、比較的規則的な馬蹄形表面波に発達する。
二次元表面波から馬蹄形表面への遷移によって、液膜のガス吸収の遷移が生じる。鉛直円管内を流下する液膜では、レイノルズ数Re<40では、二次元表面波が支配的であり、ガス吸収のシャーウッド数ShはReの約1乗に比例して増加する。一方、40<Re<400では、馬蹄形表面波が支配的であり、ShはReの約0.5乗に比例する。
表面波の速度は、表面波の大きさ(波の高さ)とともに単調に増加する。二次元表面波にスパン方向に周期的な擾乱を与えた場合、規則的な馬蹄形表面波が生じる。表面波の速度が小さい場合、波長の短い擾乱に対して表面波は安定であり、二次元性を保持するが、長い波長の擾乱に対しては不安定であり、スパン方向に正弦波形の三次元表面波に発達する。中安定の擾乱波長は、波の速度の増加とともに減少する。速度が大きい場合、表面波は馬蹄形表面波に発達し、最終的には、隣り合う馬蹄形表面波と干渉して、分裂した凹凸の波(ランダムな渦の群)に発達する。
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