研究概要 |
耐火性を要求される機器,機械構造物,建築構造物の耐火被覆材は,その含水率を高めると耐火性能が向上することがわかっている.この事実に基づいて,耐火被覆材として広く用いられているパーライトモルタルに,高吸水性樹脂に塩化カルシウム水溶液を吸水させたゲルを保水材として混合分散し高含水化させた耐火被覆材が優れた耐火性能を持つことが最近明らかになった.混入するゲルの割合を高めると含水率は高くなるが,パーライトモルタルが少なくなり熱抵抗は低下する.このため,耐火性能が最も高くなる最適な混合比があると予想される.本研究の目的は耐火性能が最も高くなるパーライトモルタルとゲルの最適な混合比を見出すことにある. パーライトモルタルとゲルの最適な混合比を見出すためには耐火試験の数値シミュレーションが有効な手段である.耐火試験の数値シミュレーションには耐火被覆材の熱モデル,すなわち耐火被覆材の含水率,有効熱伝導率,比熱等の熱物性値が必要である. そこで本年度は,高吸水性樹脂(CN-80M)に塩化カルシウム水溶液(30wt%)を吸水(15g/g)させたゲルを保水材として混合分散し高含水化されたパーライトセメント耐火被覆材の含水率,有効熱伝導率を測定した.含水率,有効熱伝導率を測定した耐火被覆材はパーライト/セメント比(体積比)=1および3の2種類のパーライトモルタルにゲルをゲル/パーライトモルタル比(体積比)=0,1,2,3混合分散させたもので,全部で8種類である.有効熱伝導率の測定は室温域と500〜800Kについておこなった.その結果,パーライト,ゲルの配合と含水率,有効熱伝導率の関係が明らかとなった.
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