研究課題/領域番号 |
11650235
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
大竹 浩靖 工学院大学, 工学部, 講師 (40255609)
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研究分担者 |
宮下 徹 工学院大学, 工学部, 講師 (00100371)
小泉 安郎 工学院大学, 工学部, 教授 (20215156)
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キーワード | 機械工学 / 熱工学 / 沸騰 / 固液接触 / 熱伝達 / 極小熱流束点 / 熱力学的過熱限界温度 / 接触角 |
研究概要 |
本研究は、沸騰熱伝達に残されたブレークスルーの一つである濡れ挙動を、化学的熱力学側面で検討・解明することを目的として、主として高過熱面上の微視的な濡れ情報を実験的に収集、その検討を行った。 本研究はその研究の初年度として、現有の実験装置を用いて、膜沸騰下の高温過熱面上に液塊を当てた後の濡れの拡大・縮小様相を高速度撮影を通して実験的に観測し、様々な観点から濡れの情報を収集、その検討を行った。実験は、直接通電加熱される直径2mmのU字型白金細線(非酸化・清浄面)まわりに安定な飽和膜沸騰状態を形成させた後、加熱面近傍に設置した内径1mmのノズルを通して飽和状態の液ジェットを噴射することにより人為的に濡れ面を形成させる。この濡れ面の挙動を別途冷却機能を付加した分離型高速度ビデオカメラで記録、その後観測する。同時に、白金極細線製の電圧タップより濡れ面の形成時の温度変動を計測し、その変動より熱流束変動を求めた。なお、主とした実験パラメータは過熱面初期温度であり、780〜250℃の範囲で変化させた。この結果、(1)濡れ抑制の温度条件(濡れ拡大開始温度条件)が熱力学的過熱限界温度であること、高過熱面下の濡れ時の熱伝達特性の代表値として既存の限界熱流束の実験事実が妥当であること、(2)初期過熱面温度の増加とともに濡れが抑制されること、(3)高過熱面上の濡れ拡大過程において、固気液界面先端と過熱面とのなす角度は常温下の動的な前進接触角の上限値に近いこと、を示した。 なお、より詳細な濡れに関する実験情報を得るため、次年度は、シリコン塗布・焼結の手法により伝熱面の濡れ性を変化させた実験検討を行い、さらに化学熱力学的な面からの検討を加える予定である。
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