研究課題/領域番号 |
11650235
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
大竹 浩靖 工学院大学, 工学部, 助教授 (40255609)
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研究分担者 |
宮下 徹 工学院大学, 工学部, 講師 (00100371)
小泉 安郎 工学院大学, 工学部, 教授 (20215156)
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キーワード | 機械工学 / 熱工学 / 沸騰 / 遷移沸騰 / 固液接触 / 前進および後退接触角 / 熱力学的過熱限界温度 / 遷移沸騰相関式 |
研究概要 |
本研究は、沸騰熱伝達に残されたブレークスルーの一つである濡れ挙動を、化学熱力学的側面で検討・解明することを目的として、主として高過熱面上の微視的な濡れ情報を実験的に収集、その検討を行った。 本年度は最終年度として、(A)膜沸騰下の高温過熱面上に液塊を当て、その後の濡れの拡大・縮小様相を高速度撮影を通して実験的に観測し、様々な濡れ挙動の情報を収集、その検討を行った。特に、新たに製作した液流動系を用いて液塊の制御を行い、液塊の流量および流速が及ぼす濡れ挙動への影響を検討した。さらに、(B)遷移沸騰熱伝達の定常実験を通して、遷移沸騰のメカニズムを検討した。特に、信頼できる遷移沸騰熱伝達率のデータの蓄積に加え、自作のポイド計により壁面近傍ボイド率の計測を行い、このボイド率と沸騰熱伝達特性より算出される固液接触確率との相関関係を検討した。 前者の濡れ実験(A)より、(1)熱力学的過熱限界温度において部分的な濡れが発生するが、(2)液塊流量によって大規模な蒸気膜崩壊の温度が異なること、すなわち、流量の減少とともにこの崩壊温度が低下すること、(3)流量が減少するにつれて、濡れの拡大速度が減少および濡れ領域が縮小すること、(4)濡れの縮小過程において、固気液界面先端と過熱面とのなす角度は常温下の動的後退接触角の上限値に近いことを示し、濡れの駆動力(液動圧)とその抑制能力(過熱面温度)との関係を示した。後者の定常遷移沸騰実験(B)より、(5)無次元過熱度に注目した遷移沸騰熱伝達の相関式(固液接触割合相関式)を提示するとともに、(6)加熱モードと冷却モードそれぞれの遷移沸騰熱伝達には大きな差異がないこと、(7)壁面ボイド率と固液接触割合がほぼ等しくなることを示した。これらの事実は、遷移沸騰熱伝達に対して、壁面温度がその支配パラメータであることを示唆するものである。併せて、そのモデル化を試みた。
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