本年度は計画の最終年度であったが、研究を進めるにつれて新しい問題も明らかになった。研究の目的は、単に3成分系代替フロンR-32/R-125/R-134aの熱力学性質ばかりでなく、各成分の純物質であるR-32、R-125、R-134a、およびこれらの混合によって得られる3組の2成分系代替フロンと1組の3成分系代替フロンのすべてについて、pVTx関係に関する実験を行い、熱力学性質を明らかにするものであった。本年度は、文献収集を昨年に引き続いて実施し、さらに2成分混合冷媒の実験を実施した。3成分系代替フロンについては調査研究を実施したが、実験装置に漏れが生じたこともあって、試料容器および差圧計の設計から計画しなければならなかったため、実験を行うまでには到らなかった。 4年間の継続研究によって、次の新しい知見が得られた。 (1)オゾン層を破壊しない空調用冷媒として、代替フロンR-32、R-125、R-134aおよびこれらの混合冷媒が期待され、実用されている。今後とも地球環境の観点から実用されると思われるが、限られた混合組成に対してしか実測値がないため、省エネルギーと地球環境の点から、さらに精度を上げるため今後とも引き続いて研究を実施する必要がある。 (2)本研究で使用した実験装置は、独自の設計によるものである。高精度測定を目標にしているため、差圧計に幾分かの弱点があり、実測には注意を要した。そのため、差圧計の取扱いの失敗から、ときどき実験を中断せざるを得ない事態もあった。時間的に3成分混合冷媒の実験を実施できなかったが、引続き実験を継続する予定である。 (3)代替フロンR-32、R-125、R-134a、2成分混合冷媒R-32/R-125、R-32/R-134a、R-125/R-134aについては、新たなpVTx関係の実測値を得ることができた。今後は、状態式の開発が急務であり、代替フロン全般にわたった高精度状態式を開発する必要がある。
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