研究概要 |
側壁加熱水平ボートを想定したアスペクト比(液層長さ/液層深さ)2および4,幅比(液層幅/液層深さ)0.5〜4.2の矩形容器の二鉛直壁に温度差を与え,他壁は断熱条件として,プラントル数0-0.027の流体について3次元数値シミュレーションを,前年度に引き続き実行した結果,1.(アスペクト比,幅比)=(2,1),(2,2)の場合,それぞれプラントル数が0.01〜0.015および0.018〜0.025の範囲で臨界グラスホフ数が急激に増加することが分かった。2.一般的には,幅比の増加とともに臨界グラスホフ数は減少する傾向を示すが,狭い幅比域で臨界グラスホフ数の急激な増減が見られた。これはセル状あるいはロール状対流構造の転移によることが確かめられた。これらの成果は昨年度の結果とともに,欧文誌に掲載された。 さらに,昨年度に引き続いて,アスペクト比2および4,幅比1〜4の条件で,溶融ガリウムによる実験を行った結果,1.アスペクト比2の場合,振動周波数の測定結果はシミュレーション結果ほど幅比に依存して大きく変化せず,よい一致は得られなかった。しかしながら,アスペクト比4では幅比による依存性はあるものの,よく一致する結果が得られた。アスペクト比2の場合,発生する振動振幅が小さく,十分な精度で測定できなかったためと考えられる。2.液晶シートによる融液表面温度場の可視化は溶融ガリウム表面の酸化被膜のために満足な結果は得られなかった。今後さらに検討すべき必要があると考えられる。
|