研究概要 |
初年度の研究成果をふまえて,3次元超音波振動ジャイロのための数値シミュレータ「GYRO3D」の整備を行った。本数値シミュレータは,3次元圧電振動場を6面体アイソパラメトリック要素で離散化し,任意形状に対応できるようになっている。要素行列の計算に数値積分を使用しているため,ある程度の誤差の混入は避けられないが,高精度数値積分法を導入して精度の向上を図った。また,水晶などの圧電結晶体にも対応しているが,今回は温度係数は組み入れていない。さらに,プログラムを倍精度化することで実用的な計算が行えるようになった。3次元応答計算は一般に計算時間・記憶容量等が膨大となることから,スーパーパソコン(現有設備)上でシミュレータを開発した。 つぎに,音叉型の水晶振動子(Xカット)で構成された振動ジャイロモデルを想定し,3次元回転運動に対する応答を数値実験した。このジャイロは,励振モードと検出モードが異なるタイプで,形状の最適化により両者を人工的に縮退させることでジャイロとして動作させる。励振-検出方法の違いにより面内振動励振-面外振動検出型と面外振動励振-面内振動検出型の2種類について解析を行った。その結果,励振モードと検出モードが異なっても高感度なジャイロを構成できる可能性が示された。また,モードの特性により励振-検出方法の違いで感度が変化する場合もあることがわかった。つぎに,L字型の水晶振動子による振動ジャイロモデルを創成し,3次元回転運動に対する応答を数値実験した。この構成では音叉型よりも感度は劣るが,より簡易に構成できるため実用上は有利になる可能性が示された。
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