研究概要 |
本研究では,複雑な機械システムの統合化を比較的容易にするために人工知能分野で注目されているエージェント技術を活用した統合化システムの開発を,ロボットマニピュレータの開発・設計・生産といったモデルを考え,実験等も交えながら検討した.各要素技術の検討を中心にした1999年度の成果を受け,2000年度はそれらを統合すべく,さらに検討を行い以下のような点が明らかになった.多目的最適化手法の活用が非常に有用であるとともに,複合領域最適設計問題では,設計領域における技術知識の共有が困難であることを指摘した.このような状況においては,どのように妥協を形成し,早期に性能が良い設計案を定めるかが重要となる.妥協を形成するためには,積極的な情報提示による妥協形成が有用であり,昨年度に示した妥協情報の提示法及び提示時期を数値計算による確認し提示手法の有効性を確認した.ここでは,各領域の状況を認識・推測し,他の技術領域と調整を行うエージェントの構築が有用であることが認められた.昨年度に実現したコンピュータネットワークを介して解析ソフトウエアを利用する機構を利用することにより,機構設計,構造設計,軌道設計,制御系設計を考えた規模が比較的大きい設計問題に対して設計が効率的に進められることが認められた.特に競合する設計指標が存在する場合に有効であることが明らかになった.計画通りにロボットアームに対する実験を行った.ここでは,機構設計,構造設計,軌道設計,制御系設計を複合した設計解に従い機器製作を行い,画像計測,レーザ計測による変位測定を通して理論設計と近い性能を発揮できることを確認し,本研究の有効性を実験により確認した.
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