研究概要 |
本年度は,以下の2項目について実施した. 1.適応的モード動特性同定法を用いた非線形システムのリアルタイムモニタリング 適応的モード特性同定法をオーダートラッキング手法に拡張した.また本手法を代表的な非線形現象を示すゴムマウント,液封マウント,およびエンジンのピストンスラップへ適用した. (1)従来のVold-Kalmanフィルタの欠点を改善したKalmanフィルタとVold-Kalmanフィルタを組み合わせた手法を提案し,本手法によって時変周波数,時変振幅の推定が可能であることを示した. (2)提案手法をオーバーハング型回転機械に適用することによって,回転次数比成分,共振成分というクロス成分の分離が可能であることを示した. (3)共振成分のみを分離することにより,実稼動時のモード特性を抽出可能であることを明らかにした. 2.スライディングモード制御理論を用いた非線形な外部環境に対する力制御器の設計 ゲインスケジュール型可変超平面を有するスライディングモード力制御器を提案し,強い非線形性を持つ外部環境に対して衝突を伴う接触力制御を行い以下の結論を得た. (1)接触時のシステムを時変剛性を有する1自由度系と仮定することで,接触環境の剛性をパラメータとするゲインスケジューリング型力制御器を設計し,本手法を用いることにより事前の情報なしに特性の異なる環境に対する力制御が行えることを示した. (2)提案した制御器を用いることにより,接触環境およびシステム自体に存在する非線形要素に対するロバスト性が向上することを示した.
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