研究概要 |
ロボットによる製品分解のシミュレーションを行い,分解のための行動様式をもつロボットが,製品を見て行動を発現し,それによって製品の分解が進むことを示した。行動様式として,ねじ回し・部品はずし等のほかに,製品全体の向きを変えて別の面から分解を試みるという行動を加えた。ロボットの行動の発現は,製品のアフォーダンスをロボットが選んで受け取ることであると考えることができる。アフォーダンスの受け取り(すなわち行動の発現)の選択に一定の規則を設けることによって,分解が効率的に進むことをシミュレーションによって示した。すなわち,ある部品の取り外しが不成功ならば別の部品を試みる,ある面での取り外しが不成功ならば別の面を試みる,といった選択による効率化を図った。 さらに,この概念を実証するために,簡単ではあるが実際の組立物の分解を試みた。そのために,ロボット,視覚,力覚などの個々の処理を受け持つサブシステムを統合したネットワークロボティクスシステムを構築し実験を行った。視覚サブシステムでは,ボルトや部材に対応する正六角形や長方形の検出を行い,その位置座標をロボットサブシステムに送る。ロボットサブシステムでは,六角形ならば反時計回りに回す,長方形ならば持ち上げる等の行動を起こす。図形検出・認識には,テンプレートマッチング,自己相関,ハフ変換等の手法を試みた。 また,力感覚に基づいて部品はずし行動を発現する部分について,力センサの情報を用いて迷路状の拘束から抜け出る行動を発現する構造を,人間の行動を手本として構成した。 ロボット間の協調については,ネットワークロボティクスにおいて,一方のロボットの動作をテープセンササブシステムによって計測し,そのデータを他のロボットサブシステムに送り,前者の動きに後者を追従させる実験を行った。 以上の実験によって,アフォーダンスに基づくロボット行動の生起実験の基礎ができあがった。
|