研究概要 |
鏡視下における微細手術は,作業の微細さや人間の手作業の限界から手術時間が伸びてしまうことや適応範囲の限界が問題となっている.そのため,微細手術を支援するロボットシステムの開発が行われている. 当研究グループでは,米国SensAble社のPHANToMを4台用い力感と視覚の呈示により直感的な操作が可能となり,良好な作業性が実現できることが確認できた.今回新たにミニチュアスレーブロボットの開発を行った.スレーブ側にはPHANToMと同様の自由度を有する.スレーブロボットの作業領域は小型のCCDカメラでマスター側に伝送され,術者はその画像をLCDで見ながらマスターロボットを操作し微細な手術を行う. スレーブロボットの自由度はPHANToMと同様に3DOFである.手先の分解能は,約10μm,発生力は最大で1Nである.またマスターとスレーブの寸法比は1/5〜1/7である. 次に視覚と力覚の呈示を変えたときの効果について述べる.ここで行った作業は,数mm角のブロックを起こすこととし,これを決められた時間内に起こした回数を作業効率の目安とした.知覚情報の呈示の条件は,力情報と視覚情報の有無の組み合わせで呈示した.その結果,力情報の呈示により成功回数が増えていることが分かった.一方視覚情報の良,不良は成功回数にあまり関係が無いことが分かった.作業に必要な力の最大値とばらつきを調べた結果,力情報を呈示することにより,常に一定かつ最小の力作業していることが分かった. 以上,微細手術支援ロボットにより力覚と視覚情報の呈示の違いによる作業効率と加えられている力の特性について述べた.これにより視覚情報と力情報の呈示は作業効率に影響を与えることが分かった.
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