研究概要 |
鏡視下手術は低侵襲なため患者の負担が少なく,さらに術後の疼痛が少なく早期回復が見込まれる.しかし,一方で術者にとって熟練技術が要求され,技術の習得に多くの訓練が必要とされている.主な理由は従来の鉗子では自由度が不足し,先端の作業部を自由に操作することができないことと,鉗子先端と臓器を,モニター画面を見ながらの動作であるため,手と視覚の位置関係を構成し直す必要があるためと言われている.そのため最近では,米国においてマイクロマニピュレーションやロボット技術を使った手術支援ロボットが導入され上述の問題点を解決しつつある.しかしこれらのシステムは,一般消化器外科などの使用を考えるコスト高になってしまうことが指摘されている.また術前の準備に時間を要してしまうことも指摘されている.本研究では先端に自由度の組み合わせ方で操作性がどのように変わるか調査し,実機の設計に反映できるようなシミュレータを開発した.これを用いて作業部の構造を3通りに変化させて,操作性の違いを調査した.また,実機で考慮しなければならない作業部のリンクの長さや,作業部と操作部の間の応答遅れについても条件を変化させたときの操作性の違いについて調査した.なお,タスク1は理想軌跡と湾曲針の軌跡の位置誤差および方向ベクトルの誤差を表価値とした.また,タスク2は針を把んだときの角度が直角からのずれを角度の誤差として評価値とした.M1はRoll-Pitch-Roll,M2はRoll-Pitch-Yaw,M3はPitch-Yaw-Rollの組み合わせである.位置決め誤差については,大きくばらついているもののM3が作業成績が良くM1が誤差が大きくなっている.角度についてはM3が最も良くM2が最も誤差が多くなった.さらに湾曲針を把持するにあたって,やはりM3が最も良くM2の誤差が多くなってうことがわかった.
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