海外からのロボットの遠隔操作にあたり、無視できない通信時間の遅れが必ず存在するので、リアルタイムの双方向制御できないと仮定した。そこで、操作者の意図を正確に抽出して、その意図をロボットサイドでおくり再現するという枠組みで検討することとした。 ここで、操作者の動作意図として2つを考えることができる。 1)何らかの言語表現できるもの。例えば「コップを掴む」などと明確に動作を表現できるもの。 2)言語表現が不可能な動作。例えば「肩をたたく:マッサージ効果を狙ったもの、相手に気づかせるための動作、相手を慰めるための動作」は目的により動作が微妙にことなり、その表現は非常に難しい。とくに、文化背景が異なると、このような微妙な動作の表現は、ほぼ不可能になる。 言語表現できる動作に関しては、日常生活内の動作は一般的な先進国文化圏では、ほぼ同じであるとの検討結果から、指示動作を「動詞」と「目的語」の組み合わせで表現することとした。目的語は一般に名詞であるが、これはロボットサイドの映像画面をマウスで指示することにより、その対象物が把握可能となる。また動作に関しては、必要となる基本動作(動詞)を各国の言語で記述しておき、それを選択することにより可能となる。さて、この動作命令を実行する際に、ロボットが如何に意図を正確に理解し、不足情報を自分で補足するかが問題となる。今年度は、与えられた対象物の位置を正確に把握すること、および動作に必要な補足情報(例えばカップを掴む際の取っ手の位置)をロボット自身で収集する部分を研究した。 言語表現が不可能な動作については、操作者側のマスターアームで操作者の動作を補足することを試みた。ここでは、動作を簡単な数個のパラメータで表して、それをロボット側で再現する方法をとった。通信遅れのある場合の動作の転送は、このような動作特徴パラメータの転送が最も効率的であることが分かった。
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