研究概要 |
平成11年度では次のような成果を得た。 1.運動療法時に行う3種類の運動(仰臥位抗重力下肢伸展保持,側臥位抗重力股関節外転保持,端座位抗重力膝伸展保持)について伸展・屈曲の随意等尺性運動を最大まで行い,その時の筋電と筋トルクの関係が線形的であることを確認した。その実験値を基に通常運動時の筋電から筋トルクを推定し,各運動を単純化した計算機モデルにより股関節に作用する力を算出した。これらの算出値は,海外で行われている人工関節埋め込み型荷重センサによる同種の運動の力計測値とほぼ同じ結果であり,単純なモデルによる解析ではあるが,その結果は十分有用であることが分かった。 2.筋への電気刺激による機能再建において,表面電極によって刺激される筋の領域や深達度の評価は重要であるが,この評価に筋細胞内の水分量に注視したMR imageが有効であることを示した(76th Annual Meeting of the American Congress of Rehabilitation MedicineにおいてScientific Mirrored Award受賞)。また電気刺激の強度,周波数,パターンなどをパラメータとして筋力との関係を求め,新しい原理に基づく筋力増強装置を考案した(特許取得済)。 3.脊髄損傷者など両下肢関節の弛緩性麻痺状態を想定できるように,これまでの異常歩行モデルを発展させ,杖の歩行時の動的効果を含めWalk-aboutによる装具歩行のシミュレーションの可能性を示唆した。 4.表面置換型人工股関節埋入患者の骨吸収現象のメカニズムについて,有限要素法を三次元股関節モデルに適用し応力解析を行ったところ,応力遮蔽との因果関係が示唆された。
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