研究課題/領域番号 |
11650278
|
研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
吉村 昇 秋田大学, 工学資源学部, 教授 (60006674)
|
研究分担者 |
王 新生 秋田大学, 工学資源学部, 講師 (90292359)
鈴木 雅史 秋田大学, 工学資源学部, 助教授 (60226553)
|
キーワード | シリコーンゴム / トラッキング破壊 / 酸性雨 / 環境ストレス |
研究概要 |
シリコーンゴムは従来の炭化水素系の高分子と異なり、その骨格がシロキサン結合である無機系高分子である。シリコーンゴムは汚損地域で絶縁材料として使用された経験が少なく、そのトラッキング破壊現象に対する理解も浅い。再現性の高い実験室内でシリコーンゴムの科学的トラッキング破壊メカニズムの解明を目指した。また、その破壊メカニズムと紫外線、酸性雨などの環境ストレスとの相関についても検討した。実験の結果、シリコーンゴムはトラッキング破壊する際に形成させる炭化導電路に、SiO_2、SiCなどの電気不導体を多く含み、電気伝導に寄与する炭素の含量が数重量%と少ないなど、従来の炭化水素系高分子と異なった破壊形態を示すことを示した。また、詳細な化学分析の結果、分子量の低い化学的に不安定なシリコーンオリゴマという物質がトラッキング破壊現象に密接に関係していることを明らかにした。つまり、シリコーンオリゴマを増量させる環境ストレスがシリコーンゴムの耐トラッキング性を低下させる。さらに、新規導入した光スペクトルアナライザを用いて、破壊時の発生する光のスペクトル分析を行った。トラッキング破壊進展時に物質の燃焼に起因する光が発生していることが確認された。最表面部では外気の酸素により燃焼が生じ,外気の酸素が供給されにくいトラック内部でその燃焼熱で無定型炭素が生成されていると推測し、無定型炭素の生成が少量でも電気絶縁破壊が起こるモデルを提案した。
|