研究概要 |
電源電圧が正弦波の時には,一般に機器の入力電流は力率1の正弦波に制御される。この場合,機器にとっては入力電流実効値を最小にでき,電流容量および効率の面から最も望ましい状態であり,また,電力系統にとっても高調波を発生しないので最も望ましいためである。 本研究では,電源電圧のひずみ存在時における機器の入力電流波形制御が,高調波障害防止の立場から重要であると考え,機器および配電系統の双方の立場から電源電圧ひずみ存在時における電流波形制御を検討している。平成11年度で得られた機器側と電源側にとってそれぞれ望ましい制御法に対して、今年度は機器および電源の双方から望ましい電流波形制御法を検討し,以下の結果が得られた。 a)電源電圧にひずみが存在する場合,機器の入力電流波形を電源電圧波形に比例した同じ波形とすることで電流実効値を最小制御にできることを示し、このときの高調波電圧抑制特性の理論式を導出した。 b)電源電圧にひずみが存在する場合,機器の入力電流波形を電源電圧波形ひずみ率の2倍の波形にすることで、正弦波電流波形制御時と同程度の入力総合ひずみ率が得られ、有効な電源電圧高調波抑制効果が得られることを理論的に明らかにした。 c)各制御状態のシミュレーションと実験を行い、理論通りの抑制効果を確認した。 d)機器側および電源側の双方から望ましい電流波形制御として、通常時には電源電圧波形と同相の電流波形とすることが機器の入力力率より望ましく、電源電圧のひずみが規定値以上になったときには、機器の入力電流波形を電源電圧波形ひずみ率の2倍の波形にすることが、望ましい制御法であることを明らかにした。
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