研究課題/領域番号 |
11650284
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山本 修 京都大学, 工学研究科, 助手 (70093333)
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研究分担者 |
濱田 昌司 京都大学, 工学研究科, 講師 (20246656)
宅間 董 京都大学, 工学研究科, 教授 (50221370)
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キーワード | 真空 / 沿面放電 / 帯電 / 表面粗さ / 絶縁設計 / 固体材料 / スペーサ / 陰極電界 |
研究概要 |
真空機器の電気絶縁において最弱点となるのが高電圧部分を支える固体絶縁物(スペーサ)の表面である。絶縁物表面は陰極からの電子の衝突によって帯電し、これをきっかけとして沿面放電を起こす。本研究は、固体絶縁物表面の帯電を考慮してスペーサを合理的に設計しようとするもので、その基礎として陰極表面の埋め込みプローブを用いて帯電から絶縁破壊までの過程をオンラインで追尾する計測法を採用し、これによって種々の絶縁物(アルミナセラミクス、アクリル樹脂、テフロン樹脂)の絶縁破壊と帯電との関係を明らかにしようとしている。特に、表面粗さや加熱処理の影響など、スペーサの表面状態が帯電に及ぼす影響を明らかにすることが本年度の主眼である。 本年度はこれまでに、上記3種類の材料で円柱および円錐台形スペーサを作成し、また、その表面粗さをサブミクロンから数十ミクロンの範囲に変えて帯電特性および破壊電圧特性を調べた。その結果、アルミナおよびアクリルでは表面粗さが大きくなるほど帯電しにくくなり、粗さ約3ミクロン以上では帯電しにくくなることがわかった。また、粗さの増大とともに破壊電圧が上昇し、帯電特性と破壊電圧特性が密接に関係していることが確認できた。さらに、帯電特性はスペーサの材料によって大きく変わることが明らかになった。すなわち、テフロン製のスペーサでは、実験に用いた粗さの範囲ではほとんど帯電しないことがわかった。テフロンでは破壊電圧も他に比べて高くなり、破壊直前の高電界でのみ弱い帯電が見られた。 以上のように、本研究によって材料やその表面処理に関する選定の指針が明確になりつつあり、合理的で最適な支持絶縁物の設計が可能になると期待される。次年度には加熱処理など、他の表面処理の影響も明らかにする予定である。
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