本研究では、電力システムで常時観測される有効電力潮流変動より、電力システムに存在する動揺モードを実時間で同定し安定度を評価する方式を提案するとともにそのプロトタイプを試作し、実測データを用いた評価試験によりその有効性を明らかにしている。本研究での研究実績をまとめると以下のようになる。 1.実時間FFTによる周波数領域での動揺モードの同定手法を提案し、Matlab/Simulink環境下でパーソナルコンピュータおよびAD・DA変換部を有するDSPボードによりオンライン安定度モニタリングシステムのプロトタイプを試作した。さらに、実測データを用いた試作システムの評価試験によりその有効性を明らかにした。 2.電力システム内の複数箇所で実測された有効電力潮流の変動パターンの類似性解析(コヒーレンシ解析)により、電力システムに含まれる動揺パターンをグループ化し、これにより広域安定度モニタリングのための最適観測点の選定法を明らかにした。また、選定された観測点での観測情報を基にした安定度評価方式の有効性を明らかにした。 3.試作したモニタリングシステムのプロトタイプの評価試験結果より、実システムへ移行する際の間題点についての検討を完了し、特に問題のないことを明らかにした。
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